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アムロジピンが投与された高血圧症を伴う慢性腎不全の猫におけるRAASを調べた研究

投稿者:武井 昭紘

高血圧の治療には、カルシウムチャネルブロッカーに属するアムロジピンが多く使用されている。しかし、ヒトおよび犬において、この薬剤はレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(renin-angiotensin-aldosterone system、RAAS)を活性化すると言われているのである。つまり、高血圧の治療が目的で投与されるアムロジピンが次なる高血圧のリスクを生んでいるというジレンマが生じている可能性があるのだ。そこで、疑問が浮かぶ。仮にそうであるならば、猫でも同様の現象が起きるのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、アメリカの大学および動物病院らは、①血圧が参照値範囲内で薬物療法を受けていない猫と、②収縮期血圧(中央値)が170mmHgで、且つ、RAASの活性を抑える治療を受けていない慢性腎臓病の猫のRAASを調べる研究を行った。なお、同研究では、②にアムロジピンが投与されている。また、②の治療前(アムロジピン投与前)の収縮期血圧は195mmHgまで上昇していたとのことである。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆アムロジピンが投与された高血圧症を伴う慢性腎不全の猫におけるRAAS◆
・①に比べて②のアンジオテンシン 1、アンジオテンシン 1,7、アンジオテンシン III、アンジオテンシン 1,5、アンジオテンシン変換酵素 (ACE)-2の活性が有意に高かった
・①に比べて②のACEの活性は有意に低かった
・①に比べて②においてRAASの影響を示すマーカーALT-Sが有意に上昇していた
・①に比べて②のアルドステロン濃度は有意に高かった

 

上記のことから、②に属する猫ではRAASが活性化されていることが窺える。よって、今後、その活性を抑える治療法が開発されることを期待している。そして、コントロールの難しい高血圧を抱える猫の治療成功率が向上することを願っている。

RAASを調べるために用意されたサンプルは、-80℃に凍結された血清だとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38003097/


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