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発作の病歴がある猫に対するゾニサミドの効果を検証した研究

投稿者:武井 昭紘

「てんかん」を抱える猫は、発作を止める抗てんかん薬の代表格フェノバルビタールが投与されることがある。しかし、同薬剤は全ての症例に有効ということはなく、他に併用する薬剤が必要であったり、発作がコントロールできないことも珍しくないのだ。一方、犬の「てんかん」ではゾニサミドという抗てんかん薬が活躍している。そこで、疑問が浮かぶ。猫の「てんかん」にもゾニサミドは効くのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、アメリカの大学および動物病院らは、発作を起こす猫50匹以上を対象にして、彼らにゾニサミドを投与し、その前後の発作の頻度を比較する研究を行った。なお、同研究では比較された頻度とは、①1ヶ月あたりの発作の回数(中央値)と②1ヶ月あたりの発作が起きた日数(中央値)である。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆発作の病歴がある猫に対するゾニサミドの効果◆
・ゾニサミドの投与後、①が1回分、②が1日分減少した
・この効果は全例で確認ができた
・特発性てんかんと診断された猫に限ると②が2日分減少した
・一般的な副作用は鎮静(17%)、食欲低下(17%)、運動失調(11%)、嘔吐(5%)であった
・2例のみ軽度のアシドーシスを呈した
・1例のみ軽度の非再生性貧血となった

 

上記のことから、ゾニサミドは猫の発作を抑制する効果を有していると考えられる。また、多くの症例で副作用も認められないことも分かる。よって、今後、より①と②を減少させるゾニサミドの用法・用量について議論され、発作の苦しみから解放される猫とそのオーナーが増えることを期待している。

6例でALTとALPの軽度な上昇を認めています。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38240116/


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