血液塗抹上で観察される「白血球の凝集」。これは、人医療において全身性の炎症や感染症を示唆する指標となっている。そこで、疑問が浮かぶ。この現象が犬猫で起きた場合、何らかの臨床的な意義があるのだろうか。
冒頭のような背景の中、アメリカの獣医科大学らは、過去4年間(2017年~2020年)に高次診療施設を訪れ、且つ、血液塗抹上で白血球の凝集が認められた犬猫(①)の診療記録を解析する研究を行った。なお、同研究では、研究対象となった127例と同数の②コントロール群(127例)のデータを集積されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆血液塗抹で白血球の凝集が認めれた犬猫の炎症・病気◆
・①は犬44例(③)、猫83例(④)で構成されていた
・③に比べて④で白血球の凝集が認められる可能性が7.6倍高かった
・②で認められる白血球の凝集は高グロブリン血症と正の相関関係にあった
・②の犬に比べて③の白血球数は低かった
・②の犬に比べて③では発熱している可能性が高かった
・②の犬に比べて③では尿路疾患と診断される可能性が低かった
・②の猫に比べて④の白血球数は高かった
・一方②の猫に比べて④では心疾患や尿路疾患を診断される可能性が低かった
・シグナルメント、好中球の形態変化、抗生剤療法(全身投与)と白血球の凝集に関連性はなかった
上記のことから、白血球の凝集は、犬では発熱をする病気、猫では白血球が高くなる病気と関連があることが窺える。よって、今後、これらの病気を詳細に分類して白血球の凝集との関連を調べる研究が進み、その臨床的意義が更に明らかになることを期待している。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38239045/