脳卒中を起こしたヒトの転帰は、その後に生じる脳の炎症によって左右されると言われている。そこで、疑問が浮かぶ。脳の血管が詰まり脳梗塞となった犬では炎症が起きるのだろうか。また、その炎症が転帰に関与しているのだろうか。
冒頭のような背景の中、ジョージア大学らは、①臨床上健康な犬と②脳梗塞を発症した犬の脳脊髄液を採取し、様々なサイトカイン(GM-CSF、IFN-γ、IL-2、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-15、IL-18、 IP-10、CXCL1、MCP-1、TNF-α)を調べる研究を行った。すると、①に比べて②では、白血球の遊走に関与するCXCL1および単球の走化性(移動)を亢進するMCP-1の濃度が有意に高いことが判明したという。しかし一方で、これらの差異が梗塞部位、臨床症状の持続期間、抗炎症薬の投与とは関連していないことも分かったとのことだ。
上記のことから、脳梗塞を起こした犬の脳でも炎症が生じることが窺える。よって、今後、CXCL1やMCP-1の濃度が上昇する臨床的意義を明らかにする研究が進み、当該疾患の診断・治療に活用されていくことに期待している。
参考ページ:
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2023.1169617/full