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群発発作の病歴を持つ犬猫の脳波を調べたヨーロッパの研究

投稿者:武井 昭紘

オーナーは勿論のこと、臨床現場でも、「けいれん」といった目に見える症状を現わさない発作を認識することは難しい。そのため、人医学で脳波検査によって非けいれん性の発作を検出しているのだ。しかし、獣医学はとなると脳波検査それ自体が珍しく、非けいれん性の発作を抱える動物の脳波に関するデータが乏しいのが現状である。

 

冒頭のような背景の中、ヨーロッパの大学らは、群発発作の病歴を持つ犬26匹、猫12匹を対象にして、けいれん発作が治まった後の脳波を記録する研究を行った。なお、同研究では、症例が呈する非けいれん性の発作を①重積ではないもの、②重積を起こすものに分類している。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆群発発作の病歴を持つ犬猫の脳波◆
・犬9匹、猫2匹から①を示す脳波が検出された(③)
・犬4匹、猫2匹から②を示す脳波が検出された(④)
・そのうち5例は①と②の両方を抱えていた
・③のうち6匹で意識レベルが明らかに低下した
・④のうち3匹で意識レベルが明らかに低下した
・発作を示す脳波が検出されない犬猫に比べて③④の死亡率は高かった

 

上記のことから、群発発作の病歴を持つ犬猫の一定割合で①や②が起きていることが窺える。また、異常な脳波が検出された犬猫の死亡率が高いことも分かった。よって、今後、一次診療施設でも実践できる安価で簡便な小型脳波検査機器が開発され、忙しい診療業務の中であってもスクリーニング検査のように脳波が記録できるようになることを期待している。また、死亡率を高める脳波が検出される犬猫の生存率を向上させる方法について議論されることを願っている。

発作を示す脳波が検出されない犬猫の死亡率は27%、③は73%、④は67%だったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38006289/


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