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拡張型心筋症を抱える犬が心房細動を起こすリスクファクターに関する研究

投稿者:武井 昭紘

大型犬の代表的な心疾患である拡張型心筋症(dilated cardiomyopathy、DCM)は、心房細動という不整脈を起こすことが知られている。そのため、この不整脈に関与するリスクファクターを把握することは重要とされているのだ。では実際のところ、何がリスクファクターとなっているのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、イタリアとブラジルの大学らは、循環器診療を扱う高次診療施設5軒でDCMと診断された犬の診療記録を解析する研究を行った。なお、同研究では、心エコー図検査にてDCMの診断がなされた症例を対象としている。すると、89例のデータが集積され、以下に示す事項が明らかになったという。

◆DCMを抱える犬が心房細動を起こすリスクファクター◆
・母集団(①)の40%以上をドーベルマンピンシャーが占めた
・次いでラブラドールレトリバー、グレートデーンが続いた
・平均年齢は7.75 ± 2.67歳であった
・平均体重は40 ± 13 kgであった
・80%以上が心不全を患っていた(②)
・②の約半数が左心不全、約30%が両心不全であった
・①の40%以上が心不全治療薬を1種類以上内服していた
・①の約30%が併発疾患(心疾患以外)を抱えていた
・①の40%以上で心房細動を認めた
・左心房径の増加と右心房拡大の存在がリスクファクターであった
・左心房径のカットオフ値は4.66cmであった

 

上記のことから、心臓の形態的な変化が心房細動と関連していることが窺える。よって、今後、左心房径の増加と右心房拡大を効率的に抑え込む治療法について議論され、その抗不整脈効果が検証されることに期待している。

DCMと診断された犬は126匹いましたが、心エコー図検査やcTnIの数値が条件に合致せず、37匹が除外されたとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2023.1183689/full


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