8歳齢のミニチュア・シュナウザー(去勢オス)が、2週間に渡る多飲多尿の果てに糖尿病と診断された。空腹時の血糖値が高いことと、尿糖が検出されたことが決め手だった。すぐさまインスリン投与と食餌管理による治療が始まる。すると、驚くべき事態が発生した。
治療によって、血糖値は正常または低値になった。低血糖は危険だからとインスリンの量が減らされる。徐々に、徐々に、それは年をまたいで行われた。そして、ついにインスリンを中止できる状態へ移行した。つまり、寛解したのだ。以降1年間、臨床症状を示さなかったという。しかし、その後高血糖と多飲多尿は再発し、インスリン療法も再開された。
インスリンを分泌する膵島のβ細胞が破壊されて発症する犬の糖尿病は寛解することは難しいと言われている。果たして、彼らがインスリン療法から離脱した一時期に何が起きていたのだろうか。今後、類似した病態を持つ犬の診療記録が集積され、謎が解明されることを期待している。そして、犬の糖尿病診療に新たな知見が加わることを願っている。

症例を発表した欧米の大学らは犬の糖尿病も寛解できる(理由は不明)と述べておりますので、そのメカニズム、方法について議論されることを期待します。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38240130/