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臨床上健康な猫と病気を抱える猫の横隔膜の厚さを比較した研究

投稿者:武井 昭紘

横隔膜は、胸腔と腹腔を隔てる筋肉および膜性の構造で、ヒトや動物の呼吸に深く関与している。そのため、神経麻痺や筋力の低下に伴って横隔膜の機能が障害されると、心肺機能が危機的状況に陥るのである。では実際のところ、何らかの病気を抱える動物において、横隔膜の機能は正常に保たれているのだろうか。あるいは、機能が低下する支障をきたしているのだろうか。

冒頭のような背景の中、チュラロンコン大学は横隔膜の厚さに着目して、①臨床上健康な猫と②病気を抱える猫を比較する研究を行った。なお、同研究では、CT画像を基にして第1腰椎の終板(頭側)の腹側に位置する左右の横隔膜の厚さが計測されている。すると、②のうち心肺機能にトラブルを持つ猫の横隔膜の厚さ(左右とも)は、①に比べて著しく薄いことが判明したという。

上記のことから、横隔膜の厚さの変化は猫の心肺機能に影響を及ぼすことが窺える。よって、今後、横隔膜が薄くなる原因が追究され、猫の循環器・呼吸器診療に全く新しい治療法が登場することを期待している。

本研究では、左右の横隔膜の厚さには差異があること、また猫の性別で厚さが異なることも分かっております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38164391/


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