ニュース

FIPに対する治療を受けていた猫2匹に起きた高窒素血症・排尿障害

投稿者:武井 昭紘

生後8ヶ月の不妊メスの猫が、急性の高窒素血症を発症した。彼女は、猫伝染性腹膜炎(Feline infectious peritonitis、FIP)の疑いがあるとしてGS-441524という薬剤による治療を受けていた。未認可の抗ウイルス薬だ(未認可が悪いと言っているのではない)。原因を追求するべく超音波検査が実施された。腎臓や尿管に多発性の結石が見つかった。高窒素血症は尿管閉塞に起因していると考えられ、外科手術(皮下尿管バイパス術、SUB)が適応された。

 

2歳の去勢オスの猫が尿の出が悪く、失禁して、圧迫排尿も困難な排尿障害に陥った。彼もまた、FIPと診断されGS-441524による治療を受けるとともに、超音波検査にて多発性の尿路結石症が発覚した。そして、結石を除去すべく膀胱切開術が適応され、膀胱造瘻術によって一時的に尿路が変更された。

彼らから摘出された結石が分析に回された。結果は不明。一般的に知られている、獣医師国家試験に出題されるような成分ではなかった。通常の分析では主成分が分からなかったのだ、しかし、更なる詳細な分析により、正体が判明した。主成分は、GS-441524の構造に近いものであった。同薬剤と98%一致していた。

 

FIPの治療薬として、GS-441524は有望視されている。だが、その安全性や効果について世界各国の認可制度が追いついていない。そのため、未認可が使用されるのだ。果たして、同薬剤の重大な副作用の一つに、尿路結石が挙がってくるのだろうか。今後、薬剤使用例の報告が増え、全容が明らかになることを願っている。

症例報告を行ったアメリカの大学および動物病院らは、GS-441524を投与した猫のスクリーニング検査を決めるために、更なる研究が必要だと述べています。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38032049/


コメントする