ニュース

犬のリンパ腫を診断するバイオマーカーとしてのチミジンキナーゼ1の有用性

投稿者:武井 昭紘

ヒトと親密な関係を築き、ヒトを精神的にも肉体的にも支える犬は、現代社会における福祉において重要な役割をになっており、その役割は新型コロナウイルスのパンデミックを経て、一層際立ったものになっている。故に、彼らの健康を維持することは即ち、ヒトの健康を維持することにも繋がると言えるのだ。そのような中で、ペットの世界では高齢化が進んでいる。そして、腫瘍という命に関わる病気が増えていくと推測されている。つまり、ヒトと犬の健康管理の面で、犬の腫瘍を早期に診断することは大変に有意義なことだと考えられるのだ。

そこで、スウェーデンの大学らは、細胞の増殖と破壊に関与するチミジンキナーゼ 1 (Thymidine Kinase 1 、TK1)に着目して、①臨床上健康な犬と②リンパ腫と診断された犬から採取した血液サンプルを解析する研究を行った。なお、同研究では、抗TK1モノクローナル抗体を用いたサンドウィッチELISAの精度が算出されている。すると、①に比べて②では血清中TK1濃度が有意に高く、感度80%、特異度95%の確率で両者を判別できることが確認できたという。

上記のことから、同研究で採用されたサンドウィッチELISAは、犬のリンパ腫を診断する有用な検査になり得ることが窺える。よって、今後、感度を向上させる研究が進められ、リンパ腫の早期診断が実現し、一次診療施設にも普及することを期待している。

陽性的中率は97%、陰性的中率は83%だとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2023.1243853/full


コメントする