テレビやSNSを見る限り、動物たちは見知らぬヒトと見知った(馴れている)ヒトの前で取る行動が異なることがある。そして、その傾向は子犬・子猫の時よりも成犬・成猫でより強くなるような印象である。つまり、彼らは「ヒトを見て」どういった行動をするか決めているように思うのだ。一方、話は変わるが、犬の飼育、特に散歩においてある問題が発生する場合がある。散歩中に排泄をするかしないか。おそらく、多くのオーナーが、また入院管理をする獣医師・動物看護師が直面し、悩んでいることだろう。もしも、仮に排泄する条件なるものがあるならば、それを知りたいと思うだろう。果たして、散歩中の犬たちが排泄条件とは一体、何であろうか。
冒頭のような背景の中、コーネル大学は、リードを付けて散歩をする保護犬110匹以上の排泄行動を、散歩に連れ添うヒトの性別、そしてヒトと犬の親密度に着目して観察をする研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆一緒に散歩をするヒトの性別やそのヒトとの親密度と犬の排泄行動◆
・馴れていないヒトとの散歩(①)では、オスの成犬は男性よりも女性との散歩で排尿確率が高かった
・①では、メスの成犬の排尿確率はヒトの性別で変動しなかった
・排便確率も男性よりも女性との散歩で高かった(成犬、オスメスともに)
・馴れたヒトの散歩(②)でも同様の結果が得られた
・成犬とヒトの親密度の違い(①と②)は排泄行動に影響を与えなかった
・幼犬におけるヒトの性別の影響は少なかった
上記のことから、散歩中の排泄行動は犬やヒトの性別、犬の成熟度と関連していることが窺える。よって、今後、散歩中に犬が排泄する(あるいは排泄しない)条件について研究が進み、飼育管理や入院管理がより効率的になることを期待している。

ヒトの年齢別(小学生未満、小学生、中高生、成人、高齢者など)に検証されると、新たな見解が得られるかも知れません。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38067000/