ナトリウム(Na)は、血液中に水分を溜め込むように働き、肺水腫や急性うっ血性心不全(acute congestive heart failure、CHF)の病態にも深く関与している。そのため、当該疾患ではNa利尿という治療法が選択され、そこに酸素療法が加わるのだ。そこで、疑問が浮かぶ。このNa利尿の良し悪しは、酸素療法の成績を左右しているのだろうか。
冒頭のような背景の中、ペンシルバニア大学は、CHFを呈した犬50匹以上を対象にして、フロセミドの静脈注射後の尿中Na濃度(urine sodium concentration、uNa)と、酸素療法の治療期間・成績との関連性を調べる研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆CHFの犬のuNaと酸素療法の関連性◆
・①uNaが低い犬(<87mEq/L、24.2±2.6時間)は②高い犬(≧87mEq/L、16.6±1.7時間)に比べて酸素療法の期間が有意に長くなった
・①において酸素療法を中止できる可能性は12時間後で28%、24時間後で42%、36時間後で73%であった
・②において酸素療法を中止できる可能性は12時間後で28%、24時間後で88%、36時間後で96%であった
上記のことから、尿中に排出されるナトリウムの量・程度は酸素療法の成績を左右していることが窺える。よって、今後、uNaを用いた酸素療法の効果判定法が確立されるとともに、尿中にナトリウムをより多く排泄させる治療法について議論が深まることを期待している。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38038223/