ルイジアナ州原産の大型犬カタフーラ・レパード・ドッグ(生後11週齢、未避妊メス)が、アメリカはテネシー大学の動物病院を訪れた。どうやら、数週間に渡る運動不耐性と呼吸困難を呈したようなのだ。循環器疾患も感染症も、無論、呼吸疾患も考えられる中、彼女に一体何が起きたのだろうか。
胸部X線検査が行われた。右の肺野が著しく拡大している。また、そのためか、周囲の肺葉および心臓は変位をしていた。そこで、この異常所見をCT検査で詳しく観察する決断がなされた。結果、右肺中葉が過膨張していることが判明。先天性肺気腫が疑われた。右肋間からのアプローチで中葉が摘出される。合併症が発生することなく、彼女は無事に退院した。以降18ヶ月、再発はなかった。摘出した組織の病理検査で、気管支軟骨の形成不全が見付かった。
読者の皆様は、呼吸が苦しそうな犬(子犬)を診察する場合は、何を鑑別リストに含めるだろうか。もしも、肺気腫がリストに入っていないのであれば、追加して頂けると幸いだ。また、X線検査で病態の全容が解明できない時には、CT検査を検討して頂けると有難い。
参考ページ:
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2023.1083376/full