エンドウ豆、ヒヨコ豆、レンズ豆など、スーパーフードとも称される豆科植物に獣医学が注目している。なぜなら、犬が拡張型心筋症を発症する原因と考えられているからだ。具体的には、これらのスーパーフードに含まれる含硫アミノ酸(sulfur amino acid、SAA)の量が低く、体内でのタウリン合成が制限され、当該疾患が生じると推測されているのである。では実際のところ、この理論展開は正しいのだろうか。真偽の程を明らかにする必要がある。
そこで、オンタリオ獣医科大学らは、一般家庭で飼育されている臨床上健康なシベリアン・ハスキー28匹(不妊去勢手術を受けていない個体が10匹含まれる)に豆科植物の含有量で4段階(0%、15%、30%、および 45%)に分けたフードを20週間給餌し、心機能とSAAを評価する血液検査およびエコー図検査を実施する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆豆科植物の給餌と犬の心機能◆
・心エコー図検査の所見に変化はなかった
・NT-proBNP、心筋トロポニン Iに変化はなかった
・血漿中のSAA濃度にも変化はなかった
上記のことから、豆科植物が含まれるフードは犬の心機能に影響を与えないことが窺える。よって、今後、フードが原因だと疑われていた、あるいは、疑われている犬に関する研究が見直され、真の原因が突き止められることを期待している。
参考ページ:
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022316623355007