ミニチュア・ダックスフンドは、他品種と比較して取り分け椎間板ヘルニアを発症しやすい犬種である。しかし、同品種の中であっても、①発症する個体と②発症しない個体が存在している。そこで、疑問が浮かぶ。果たして、①と②の間には、何らかの相違点があるのだろうか。
冒頭のような背景の中、ヨーロッパの大学らは、①胸腰部の椎間板ヘルニアに対する外科手術を受けたダックスフンドと②受けていないダックスフンドの③胸椎(首の付け根から胸郭の尾端)および④腰椎(胸椎の尾端から腰椎と仙骨の接合部)の長さをメジャーで測定し、③と④の比率(⑤)を算出する研究を行った。なお、犬の姿勢は立位を基本とし、自立できない個体はヒトがサポートをして立位に近い状態している。また、①の胸腰椎の状態は、MRIまたはCTで確認されている。すると、②に比べて①の③と⑤は有意に小さい数値になることが判明したという。また、両群の④、年齢、性別、不妊・去勢手術歴に差異はなかったとのことである。
上記のことから、②に比べて①の胸椎は有意に短いことが窺える。よって、今後、胸椎を短くする遺伝子を探索する研究が進み、ダックスフンドの繁殖計画が見直され、椎間板ヘルニアで苦しむ個体とオーナーが減ることを願っている。
参考ページ:
https://bvajournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/vetr.3057