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犬のBrucella canis感染症と椎骨の画像所見に関する研究

投稿者:武井 昭紘

ブリーディングで警戒され、流産の原因ともなるBrucella canis感染症は、犬を対象にした診療において重要な疾患と言える。そのため、感染症の有無を迅速に検査・診断することが求められており、その検査・診断に繋がる「感染症の疑い」を一早く察知することが大切だとされているのだ。

 

冒頭のような背景の中、アメリカの大学および動物病院らは、B. canis陽性で、且つ、脊椎・脊髄の画像所見がある犬30匹以上の診療記録を解析する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

B. canis感染症を発症した犬のデータ◆
・90%以上の症例が5歳未満であった(中央値2.5歳、5ヶ月齢~10歳)
・70%以上の症例に3ヶ月以上続く疼痛(非特異的または脊椎)、跛行が発現した
・発熱は14%の症例に留まった
・X線画像の70%以上に、MRI画像の65%以上に多発性病変が認められた
・X線画像の85%以上にホールパンチ(椎体終板にみられる滑らかな半円状の溶解病変)が認められた
・MRI画像の約40%に椎間板の炎症を伴わない椎体炎・脊椎炎が認められた

 

上記のことから、B. canis感染症の犬の画像検査でホールパンチが確認できることが窺える。よって、疼痛、跛行、ホールパンチといった臨床検査結果を有する犬の診察では、B. canisの感染の有無をチェックすることをお薦めする。

リンク先の文献にホールパンチが起きたX線画像が掲載されておりますので、ご参照下さい。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.1043610/full


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