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胆嚢粘液嚢腫と診断された犬の肝臓の状態を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

隣接する臓器どうしは、炎症などの病的現象を介して互いに影響し合う。そこで、疑問が浮かぶ。犬の消化器疾患の一つである胆嚢粘液嚢腫(gallbladder mucocele、GBM)は、隣接する臓器の肝臓に何らかの影響を与えているのだろうか。そして、その影響が生存率(死亡率)を左右することがあるのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、ミシガンの大学および動物病院らは、肉眼的且つ組織学的にGBMが認められた犬50匹以上の診療記録を解析する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆GBMと診断された犬の肝臓の状態と転帰◆
・98%の症例で肝臓に組織学的異常が確認された
・最も一般的な異常は肝臓の線維化であった(73%)
・次いで胆管の過形成(56%)、門脈の炎症(48%)が続いた
・線維化や肝硬変の程度を表すスコアと生存率・死亡率に関連性があった
・肝硬変、胆管炎、胆管肝炎が好中球/リンパ球比(NLR)を有意に上昇させていた

 

上記のことから、肝臓の状態はGBMの犬の生死を左右することが窺える。また、NLRは肝臓や胆管の組織学的異常を示唆していることも分かる。よって、今後、当該疾患を抱える犬の肝臓の状態を改善する治療法が考案され、生存率が向上する未来が訪れることを期待している。

生存率・死亡率は、胆嚢摘出術から1ヶ月後、3ヶ月後、12ヶ月後に算出されております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37921591/


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