多種多様な抗てんかん薬が流通する現代においても、「てんかん」を抱える犬の3分の1には同薬剤が奏効せず、症状がコントロールできないと言われている。そのため、彼らに有効な新しい治療法、あるいは、「てんかん」の発症を予防する方法を考案することが獣医学の課題となっているのである。一方、話は変わるが、脂質の一種である中鎖脂肪酸は、犬の「てんかん」に関連した発作を抑える効果があるとされている。つまり、口から摂取する食べ物の成分の中に抗てんかん薬の代わりになるもの、あるいは、「てんかん」の発症を抑えるものが存在している可能性があるのだ。
冒頭のような背景の中、フィンランドおよびエジプトの大学らは、一般家庭で飼育されている犬のオーナーにアンケートを食餌管理、病気、愛犬のバックグラウンドについて聴取するアンケートを依頼する研究を行った。すると、500匹を超えるデータが集積され、以下に示す事項が明らかになったという。
◆犬の「てんかん」と食餌歴◆
・母集団の約21%が「てんかん」を抱えていた
・子犬の時期に週1回以上のペースで魚油を摂取することは「てんかん」の発症と負の相関関係にあった
・しかし飼育環境や犬の個性を考慮してデータを補正すると相関関係は有意ではなかった
上記のことから、魚油は犬の「てんかん」と何らかの関連性を有しているように思える。よって、今後、因果関係を明確にするべく更なる研究が計画され、「てんかん」を予防する方法が考案されることを期待している。
参考ページ:
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2023.1227437/full