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猫の不妊手術における子宮つり出し鉤の効果を考えた研究

投稿者:武井 昭紘

子宮つり出し鉤。犬猫の不妊手術で使用するこの器具は、一次診療施設で用意される外科手術のセットに含まれている。無論、不妊手術を経験したことのある獣医師ならば、「それ」は当然のことであろう。しかし、新卒の、経験が浅い獣医師にとってみれば、子宮つり出し鉤の意味・効果は曖昧で、当然という意識には至っていないのが現状だ。そこで、同器具の効果を改めて考えたブラジルの大学らの研究を紹介したい。なお、詳細は以下の通りである。

 

◆不妊手術における子宮つり出し鉤の効果◆
・29匹のメスの猫に不妊手術を実施した
・術式は卵巣子宮全摘出術後を採用した
・猫は①子宮つり出し鉤を使うグループと②使わないグループに分けられた
・両群の術野のサイズ、手術時間、術中と術後の疼痛などが比較された
・手術時間は②に比べて①で有意に短かった
・その他に有意差はなかった

 

上記のことから、子宮つり出し鉤は、不必要な痛みを発生させることなく、手術時間を短くする効果を有していることが分かる。よって、不妊手術に使用する外科器具の用意を頼まれた新人獣医師は、子宮つり出し鉤を器具に含めることをゆめゆめ忘れないで頂けると有り難い。また、自身が執刀医になった暁には、子宮つり出し鉤を用いて手術時間の短縮を図って頂けると幸いである。

①に15匹、②14匹の猫が属していたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37705013/


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