僧帽弁閉鎖不全症など循環器に何らかの病気を持つ犬は、心不全になるリスクを抱えている。無論、それは当然のことと言う獣医師もおられるだろうが、ならば「その可能性」を予測できる先生はおられるだろうか。また、予測できるとするならば、そこに客観的なデータはどれ程含まれているだろうか。
冒頭のような背景の中、韓国の大学らは、過去4年間(2018年~2022年)にて僧帽弁閉鎖不全症と診断された犬の診療記録を対象にして、そこから得られるデータを機械学習で解析する研究を行った。すると、140件を超える症例が集まり、心エコー図検査およびX線検査の所見が最も心不全のリスクを予測するのに効果的だと判明したという。また、これら2つの検査に及ばないものの、PCVや呼吸数、そして電解質の中ではClが予測に利用できることも分かったとのことだ。
上記のことから、臨床検査所見で僧帽弁閉鎖不全症の犬の心不全リスクを予測できることが窺える。よって今後、心エコー図検査、X線検査、CBC、電解質を中心としたアルゴリズムが作成され、犬が心不全になる可能性を未然に察知できる未来が訪れることに期待している。
参考ページ:
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2023.1189157/full