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自家多血小板フィブリンを猫の創傷管理に適応したインドの研究

投稿者:武井 昭紘

保護された猫はケガを負っていることがある。そのため、このケガを治療する必要があるのだ。しかし、創傷部位が深く広い時、それに応じて治るまでの時間は長くなってしまう。これは、何らかの健康問題を抱えている猫に里親が決まる時期は遅れるといった報告が上がっている現状において、由々しき事態と言える。では如何にして、早く治すのか。それが問題である。

 

冒頭のような背景の中、インドは西海岸に位置するムンバイの動物病院らは、ヒトの創傷治癒を促進するとされる血小板製剤、自家多血小板フィブリン(Platelet-rich fibrin、PRF)を皮膚の全層に至るケガを負った猫に適応する研究を行った。なお、同研究では、猫16匹を①PRF(治療開始1日目と4日目に使用)を適応する群と②適応しない群の2つに分け、両群の創傷面積が比較されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆ケガを負った猫に対するPRFの効果◆
・治療前の創傷面積は①で9.18±3.71cm2、②で8.39±5.08cm2であった
・治療開始から14日目の創傷面積は①で0.62±0.44cm2、②で2.17±1.52cm2であった
・創傷面積の縮小率は①で93.85±3.66%、②で76.23±5.30%であった

 

上記のことから、PRFは猫の創傷治癒を早める効果を持つことが窺える。よって、今後、PRFを院内で作成できるキットが製品化され、世界各地に流通し、猫の創傷治療のレベルが向上することに期待している。

(画像はイメージです)
創傷面積の算出にSketchAndCalc™というソフトウェアが利用されております。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2023.1180447/full


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