ある保護施設で9匹の子犬が生まれた。無論、里親を見付けなればならない厳しい現実はあるが、新たな命の誕生は喜ばしいことだ。しかし、その幸せの最中に悪夢が起きた。9匹のうち2匹が突然死したのである。原因は、パルボウイルスの感染に伴う心筋炎だった。最悪な事態が頭を過ぎる。今生きている子犬が発症したら・・・。
7匹全てが循環器の精査に臨んだ。心エコー図検査、心電図に心筋炎トロポニンIの測定。里親に引き渡す前の重要な検査だった。幸い、いずれも正常。パルボウイルスの脅威には晒されていなかった。7匹のうち2匹が、2年後に再び検査を受けた。結果は正常。不安は払拭された。
症例を発表した欧米の大学らによると、7匹は5年後も生存していることが確認されたという。大学らは述べる。同腹仔がパルボウイルス感染症(心筋炎)を発症しても子犬が全滅するとは限らないと。彼らの転帰は様々で必ずしも深刻な、最悪な事態になるとは決まっていないと。よって、類似の事案に遭遇したオーナー、ブリーダー、獣医師は望みを捨てることなく、生存している個体の適切なケアをし続けて頂けると有り難い。

突然死した個体と生存した個体の相違点を解析する研究が行われると、感染が重篤化するファクターが見えてきて、新たな防疫対策が考案できるかも知れません。
参考ページ:
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2023.1229756/full