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尾の形状が異常な生後3ヶ月齢のボクサーの兄弟に起きた排泄のトラブル

投稿者:武井 昭紘

生後3ヶ月齢のボクサーの兄弟が排泄のトラブルを主訴に、イタリアはミラノとフィレンツェの中間に位置するパルマ大学の動物病院を訪れた。何でも、若くして尿失禁を呈し、便も漏らしてしまうとのことだった。身体検査の結果、獣医師は尾の形状に違和感を受けたという。また、神経学的検査では、会陰反射が欠如しており、肛門括約筋の緊張が強かったようである。果たして、彼らの身に何が起きているのだろうか。

腰部および仙骨と、そこに位置する脊髄に焦点が当てられ、画像診断が行われた。腰椎は6個のみだった。第7腰椎と思しき骨には棘突起はなく、それは仙骨へと変貌を遂げる途中ような形状だった。その後に続く骨が本来の仙骨だと推定されるが、残骸という言葉が相応しい程に形を留めていなかった。そして、そこに収まる神経組織は硬膜が嚢胞状に変化した構造物のみで、1例は脂肪、もう1例は髄膜瘤に置き換わっていた。兄弟犬に発生した病的現象ということもあり、遺伝子に原因を求めて検査が進められるも、何も掴めなかったという。

本症例を報告したヨーロッパの大学らは、一連の症状は「仙骨形成不全」によるものと述べている。加えて、血縁関係にある犬2匹が当該疾患を発症したことは世界で初めてだと訴える。短頭種に特有の、あの独特な尾の形状は遺伝子に起因すると報告する研究がある中で、本当にボクサーの兄弟に起きた仙骨形成不全は遺伝子が関与していないのだろうか。あるいは、未知の遺伝子が関わっているのだろうか。もしも、そうでなければ「兄弟で発症した原因・理由」とは何であろうか。環境か、食餌か、それとも・・・・・。今後、更なる調査が行われ、同腹仔に起きる犬の仙骨形成不全の詳細が明らかになることを期待している。

仙骨形成不全にみられる神経管の欠損には環境因子が関わっていると言われております。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2023.1201484/full


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