5%。
これは、アメリカの保護施設で暮らす猫のうち、①白血病ウイルス (FeLV) または②免疫不全ウイルス (FIV) の検査が陽性となった割合だ。実に、毎年10万匹以上が該当する計算になる。この現実は、里親を探す保護施設にとって由々しき事態である。果たして、これらのウイルス検査が陽性と判明した猫たちは、どう扱われているのだろうか。無事に里親に巡り逢えているのだろうか。それとも、将来的に感染症の病態が悪化すること、また、それがネックとなって里親が見付からないことをを懸念して、安楽死されているのだろうか。
冒頭のような背景の中、フロリダ大学らは、同州に拠点を構えて猫を受け入れている保護施設を対象にして、①または②の検査が陽性となった猫の管理について調べる研究を行った。すると、150軒を超える施設のうち、139軒から回答を得て、以下に示す事項が明らかになったという。
◆猫のレトロウイルスに対するフロリダの保護施設の向き合い方◆
・施設の50%が民間、40%が自治体運営、10%が自治体と連携する民間であった
・83%の施設(③)がウイルス検査を実施していた(殆どが①②を同時に検出できる検査を採用)
・③の49%が全頭に①の検査を、45%が全頭に②の検査を実施していた
・検査を実施する主な理由は養子縁組(③の94%)や他の施設への移動(③の68%)の可能性を推し量ることであった
・不妊去勢手術をして捕獲場所に戻すという理由は最も一般的ではなかった
・③の64%が検査陽性の猫の里親募集、54%が施設の移動、43%が安楽死を実際に行っていた
・②よりも①の検査が陽性の猫が安楽死される確率が高かった
・市営施設、地方の施設、年間の受け入れが500匹未満の施設、猫の生存率が70%未満の施設で安楽死がより多く選択されていた
上記のことから、①または②の検査が陽性となった猫の一定割合が安楽死されていることが分かる。しかし一方で、陽性であっても里親が決まることは珍しくないことも窺える。よって、今後、検査陽性の猫の里親募集に関する実績が優れている施設の手法がマニュアル化され、安楽死が多い施設へと普及していくことを期待している。そして、感染症と寄り添いながら寿命を全うする猫が増えることを願っている。
参考ページ:
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.1003388/full