研究段階にて長寿を齎すと言われているラパマイシンは、犬や猫の心機能を改善し、肥大型心筋症などの病気を治す効果を有しているのではないかということで注目されている。そのため、同薬剤の効果は勿論のこと、用量・用法、安全性、副作用などを明らかにすることが目下の課題となっているのだ。
そこでアメリカの大学らは、臨床上健康な犬にラパマイシンを6ヶ月間投与し、心エコー図検査を実施する研究を行った。なお、同研究では、一般家庭で飼育されている6〜10歳齢、体重18〜36kgの犬17匹が対象となっており、ラパマイシンの用量は0.025 mg/kg 週3回と低く設定されている。また、オーナーらには、2週間ごとにとオンラインアンケートを依頼したとのことである。すると、投与開始から6ヶ月、12ヶ月の時点での検査所見に統計学的に有意な変化はないものの、ラパマイシンを投与された犬のオーナーの約27%が、彼らの行動や健康面に関してポジティブな印象を持っていることが判明したという(プラセボ群では約8%)。
上記のことから、ラパマイシンには犬の健康を維持する、あるいは、向上させる何らかの効果があるのかも知れない。よって、今後、オーナーの印象が良くなった理由・要因を詳細に分析する研究が進み、同薬剤を使用する臨床的意義について議論されることに期待している。
参考ページ:
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2023.1168711/full