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インスリノーマが転移した犬のリンパ節を認識し確実に切除する方法を検証した研究

投稿者:武井 昭紘

インスリノーマは、成犬に急激な低血糖に伴う発作を齎すとともに、その転移性の高さから再発のリスクも生じる腫瘍性疾患である。また、転移をする部位の代表例がリンパ節であるため、リンパ節郭清が推奨されている病気なのだ。しかし、膵臓とリンパ節の繋がりは複雑で、且つ、周囲組織とリンパ節(数ミリメートル)を識別することは容易ではなく、全ての転移病巣を特定することが困難な場合があるのが現状となっている。つまり、この特定をスムーズに進める手法が求められているのである。

そこで、チューリッヒ大学は、インドシアニングリーンおよび近赤外線でリンパ節を造影するシステムを用いて、犬のインスリノーマと繋がっているリンパ節を可視化する研究を行った。すると、切除するべき8つのリンパ節を認識することができ、そのうち6つは肉眼や触診では検出できなかったリンパ節であったという。

上記のことから、本研究で採用されたリンパ節可視化システムは、犬のインスリノーマに対する外科手術における「効率的な」リンパ節郭清の実現に寄与すると考えられる。よって、今後、大規模な臨床試験が計画され、再発率をゼロに近付けるためのプロトコル、ガイドラインが作成され、当該疾患で苦しむ犬が1匹でも多く救われることを期待している。

インドシアニングリーンは腫瘍組織に注射されております。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2023.1178454/full


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