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動物看護師の精神衛生面を悪化させる要因に関するイギリスの調査

投稿者:武井 昭紘

バーンアウト(燃え尽き症候群)、共感疲労、不安、うつ病、希死念慮。イギリスにおいて、診療業務に従事する獣医師は精神疾患を発症しやすいと言われている。その確率は、他の医療系職種の2倍、一般人と比較すれば実に3〜4倍に達する。おそらく、言葉の通じない動物の苦しさを感じ取り、それを金銭(予防費や治療費)の話を交えて様々な経済事情を抱えたオーナーらとコミュニケーションをとることが大きな負担となっているからであろう。また、動物病院という特殊な現場で同僚や上司との人間関係を構築することにも苦労が絶えないからだと推察できる。では、獣医師と同じく診療業務に従事する動物看護師は、やはり同じく精神疾患を発症しやすいのだろうか。獣医師に比べて注目される機会が少ない彼らの精神衛生面を悪化させる要因とは何であって、それを解決する術はあるのだろうか。

冒頭のような背景の中、RVCは「Nursing Matters」と呼ばれるプロジェクトの一環として、動物看護師および看護学生を対象に、精神的な健康状態と幸福度を聴き取るオンラインアンケートを実施している。所要時間は20〜25分。結果を基に、精神衛生面を向上し、幸福度の低下を防止するサポートを追究するとともに、職場環境や教育機関の環境を改善する方法を模索という。

精神衛生面の悪化は他人には全く見えない。また、そこは、精神が常に安定し支障なく働いている人々にとっては全く想像が追い付かない「世界」だ。つまり、健常者が理解できない領域なのである。しかし、その世界・領域で苦しんでいるヒトが居ることは紛れもない事実だ。この苦しみから彼らが解放されるように、今回紹介した調査が一定の成果を上げることを期待している。

今まさに精神衛生面が悪化しているヒトは、まず相談する相手を見付けましょう。

 

参考ページ:

https://mrcvs.co.uk/en/news/22505/Survey-launched-on-vet-nurse-mental-health

https://rvc.onlinesurveys.ac.uk/nursing-matters


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