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小屋の広さや自由に運動できる時間の制約とウサギの活動性に関する研究

投稿者:武井 昭紘

近年、ウサギに関する動物福祉が見直されている。具体的には、彼らを単独飼育することは望ましくなく、2匹(ペア)で飼うことが理想だというのだ。そして、イギリスのブリストル大学は、2匹同時に飼育するからには適度なスペースが必要だと訴える。①飼育小屋の広さに加えて、②ケージの外で自由に運動できる場所も時間も必要だと主張するのだ。では、①や②はウサギにどのような影響を与えるのだろうか。それを明らかにすことは、ウサギの福祉を向上するキッカケになるかも知れない。

 

冒頭のような背景の中、同大学は、オスとメスのペアで飼われているウサギ20組を対象にして、小屋の広さや運動する時間を制限しながら、彼らの行動(活動性)を観察する研究を行った。なお、同研究では、標準的な小屋で彼らを8週間飼育した後、③小さな小屋(0.73 平方メートル)で生活するグループと④大きな小屋(1.86 平方メートル)で生活するグループの2つに分け、それぞれのグループに⑤自由に運動できる場所に無制限にアクセスできる3週間と⑥3時間(正午頃)のみアクセスできる3週間を過ごしてもらう形式が採用されている。また、明け方、正午、夕方に行動観察、運動が終了した時点での糞便を採取してコルチコステロンの測定が実施されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆小屋の広さと運動時間がウサギの行動に与える影響◆
・⑤に比べて⑥でウサギはより活動的になる
・③④の条件に関係無く⑥のウサギはジャンプも含めて大幅に活動的になった
・⑤のウサギの正午における活動性が一番低かった
・③且つ⑥に該当するウサギのストレスレベルが最も高かった

 

上記のことから、小屋の広さと運動時間に制約があるウサギはストレスを感じていることが窺える。加えて、運動時間の制約を受けたウサギは、その鬱憤を晴らすかのように活動的になることが分かる。よって、小屋を広くすること、および、運動時間の制約を可能な限り緩めることがウサギを飼育する上で大切なことだと言える。読者の皆様が飼っているウサギは、どのような生活を送っているだろうか。小屋の広さや運動時間が気掛かりだと思う方がおられるならば、その気掛かりを課題としつつ、解決策を見出して頂けると幸いである。

③と④は10組ずつで構成されております。

 

参考ページ:

https://www.bristol.ac.uk/vet-school/news/2023/pet-rabbits-exercise.html


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