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ヒトを救命するために制作されたAEDを犬に適応した研究

投稿者:武井 昭紘

心停止、心肺停止に対する救命処置は一刻を争う。そのため、緊急事態が起きた現場で直ぐ様に対応する必要があり、ヒトが集まる場所には至るところにAEDが設置されている。そこで、疑問が浮かぶ。ヒトとともに行動する犬にも緊急事態は起こり得る。いつ如何なる時に、心停止や心肺停止となるか誰にも分からないのだ。ならば、ヒトを助けるために制作されたAEDを彼らの救命処置にも利用できないものだろうか。

 

冒頭のような背景の中、タフツ大学は、一般家庭で飼育されている犬40匹以上に参加してもらい、AEDに付随している心電図で彼らの心臓の状態をチェックし、除細動の必要性をAEDに判断してもらう研究を行った(場所は大学付属動物病院)。なお、犬は、①臨床上健康で洞調律が確認できたグループ、②不整脈を持つグループ、③心肺停止後に蘇生処置を受けたグループの3つに分かれている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆犬におけるAEDの有用性◆
・全ての犬の心電図が正確に読み取れた
・母集団の90%で電極に付けるクリームが必要だった
・被毛が厚い、長毛の、ダブルコートの犬の約90%ではクリップ型の電極が必要だった
・AEDが下す除細動の判断の98%が正しかった
・AEDが電気ショックを犬に与えるまでの時間は18秒(7~180秒)であった

 

上記のことから、被毛の状態、電極の形状、クリームの有無などによるが、AEDは犬にも適応できることが窺える。よって、今後、AEDを犬に使用する際のガイドラインが作成され、万が一の緊急事態から一命を取り留める犬が1匹でも増えることを願っている。

①は23匹、②と③は9匹で構成されているとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36815755/


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