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子宮蓄膿症で貯まった膿をカテーテルで排出したメインクーンの1例

投稿者:武井 昭紘

多臓器不全を起こすことのある犬猫の子宮蓄膿症は、原則として外科手術で治療される。しかし、将来的に、その症例の子供が欲しいとなると話が変わってくる。そのため、クロプロステノールやアグレプリストンといった性周期をコントロールする薬剤で内科的に治療されることがあるのだ。しかし、この治療法が全ての症例に効くとは保証されていないのが現状である。一方、犬や大型の猫科動物の子宮蓄膿症に対する治療に眼を向けると、子宮頸管にドレーンを設置して排膿させる手法が報告されている。

そこで、イタリアの大学および動物病院らは、子宮蓄膿症のメインクーン(3歳齢)に、このドレナージの概念を適応した。なお、本症例では、開腹後に両子宮角に尿道カテーテル(滅菌済み)を刺入して排膿するとともに、同部位を滅菌済みの生理食塩水で洗浄する術式が適応されている。また、 アグレプリストンとマルボフロキサシンによる内科治療を併用したという。すると、子宮蓄膿症の再発は起きなかったばかりか、メインクーンは妊娠もしたとのことである。

上記のことから、子宮から膿を排出する治療法は、子宮蓄膿症に有効だと考えられる。よって、今後、同治療法を適応できる症例の条件を明らかにする研究が進み、外科手術(卵巣子宮全摘出術)に肩を並べる程の内科療法が確立されることに期待している。

本症例は開腹、つまり麻酔をかけて手術に臨んでますが、麻酔も開腹もしないドレナージ方法が考案されると、猫の子宮蓄膿症に対する治療は大きく進歩すると思います。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36669061/


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