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イギリスで飼育されている猫が抱える一般的な病気を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

近年、一般家庭で飼育されている犬の頭数を超えた猫は最も人気のあるペットと言って過言ではない。そのため、小動物臨床において、犬と同等あるいはそれ以上に彼らの診察に主を置くことは重要だとされているのだ。では実際のところ、彼らはどのような病気に罹りやすいのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)は、大規模臨床データベースVetCompassに登録されている125万匹以上の猫から18万匹強のデータをランダムに抽出し、彼らが発症する一般的な病気について調べる研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆イギリスで飼育されている猫が抱える一般的な病気◆
・猫の平均年齢は約5.7歳であった
・最も一般的な純血種はブリティッシュショートヘア(母集団の約3%)
・次いでラグドール(約1.8%)とベンガル(約1.2%)が続いた
・最も良く診断される病気は歯周病であった
・次いで肥満、歯科疾患(非特異的)、爪の過長、ノミの寄生が続いた
・疾患別では歯科疾患が最多であった(全体の5分の1以上)
・ついで肥満、皮膚科疾患、消化器疾患、寄生虫感染が続いた
・メスよりもオスで歯周病、交通事故、心雑音、跛行、肥満、膿瘍、外傷、猫による咬傷が多かった
・オスよりもメスでQOLの悪化、術後の合併症(創部)、過剰なグルーミング、ノミ過敏症、爪の過長、甲状腺機能亢進症が多かった

 

上記のことから、猫全体およびオス猫で歯周病が多いことが窺える。また、オスでは肥満、メスでは術後の合併症が多いことも分かる。よって、今後、猫の習性に合せた歯周病を予防する方法について議論され、獣医師が薦めやすく、且つ、オーナーが実践しやすいデンタルケアが考案されることを願っている。また、不妊・去勢手術の術後管理が見直されて合併症が減るとともに、術後の体重管理の重要性について啓蒙する新人獣医師およびオーナーの教育が進められることに期待している。

母集団で割合が多かった他の猫種は、メインクーン、ペルシャ、シャムだったとのことです。

 

参考ページ:

https://www.rvc.ac.uk/Media/Default/VetCompass/Infograms/220222%20Common%20cat%20disorders.pdf


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