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高齢のヨークシャー・テリアに起きた診断が難しく治療が簡単な排尿トラブル

投稿者:武井 昭紘

テキサスA&M大学に所属する獣医学部4年生が14年前に出逢って飼い始めたヨークシャー・テリア(名前はアクセル)に尿が出づらいといった排尿トラブルが起きた。そこで、一次診療施設を訪れる。尿路感染症と診断され、2週間の抗生剤療法が適応された。結果、症状は悪化した。おそらくは診断が間違っている。そう判断が下され、同大学付属動物病院に紹介された。

まず尿管の閉塞が疑われ、超音波検査に臨んだ。しかし、原因は見つからない。ならばとアクセルの年齢を考慮して、前立腺や尿道の腫瘍、そして、その腫瘍による閉塞が疑われた。内科の獣医師から放射線科・内視鏡検査を専門とする獣医師へ。次なる一手(検査)は引き継がれ、尿道に放射性物質を入れて画像診断が行われた。膀胱が後方へ、骨盤内に入るように移動をする。尿道は湾曲し、尿の流れが妨げられた。後方へ落ちないように前方へ牽引するべく、膀胱は体壁に固定された。

 

『診断は難しかったが、手術は簡単だった』。

同大学は、そう述べる。また、過去に同じく高齢のヨークシャー・テリア(メス)で類似の病態を経験したと付け加える。果たして、今回紹介した病的現象はヨークシャー・テリアが特異的に発症するものなのか。今後、犬全体での有病率を算出する研究が進むとともに、その疫学が明らかになることを期待している。

超音波検査で特定できない尿道の閉塞を診察する場合は、放射性物質は使用できないとしても、造影検査を検討すると良いかも知れません。

 

参考ページ:

vetmed.tamu.edu/news/press-releases/axel/


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