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シンパリカおよびシンパリカトリオのネッタイシマカを駆除する効果を検証した研究

投稿者:武井 昭紘

改めて言うまでもないが、世界的医薬品メーカーZoetis社がリリースするノミ・マダニ予防薬シンパリカ、および、フィラリア・ノミ・マダニ・消化管内寄生虫予防薬シンパリカトリオに含まれる有効成分であるサロラネルは、ノミやダニといった節足動物を駆除する効果がある。そこで、疑問が浮かぶ。ノミやダニと同じく節足動物に分類される蚊には、サロラネルの駆除効果は発揮されるのだろうか。つまり、平たく言えば、蚊を寄せ付けず殺す効果なるものがあるのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、同社およびアメリカの研究所らは、供試犬24匹にネッタイシマカを曝露して、両薬剤の効果を検証する研究を行った。なお、犬たちは、①非投与群(コントロール)、②シンパリカ投与群、③シンパリカトリオ投与群の3つのグループに分けられ、吸血をしていないネッタイシマカ50匹に曝露されている(曝露から一定時間経過後の蚊と卵の数を算出)。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆シンパリカおよびシンパリカトリオのネッタイシマカに対する効果◆
・①に曝露した蚊のうち約70~90%が吸血した
・②および③に曝露した蚊の数は48時間後に有意に減少した
・②を吸血した蚊の約97%が死亡した(曝露から28日目)
・③を吸血した蚊の約90%が死亡した(曝露から21日目)
・②を吸血した蚊が産む卵は約99%減少した(曝露から48時間以降35日目までに)
・③を吸血した蚊が産む卵は約98%減少した(曝露から72時間以降28日目までに)

 

上記のことから、両薬剤はネッタイシマカを駆除する効果を有していると考えられる。よって、シンパリカまたはシンパリカトリオを処方する計画がある動物病院では、フィラリア予防薬の選択に悩んでいるオーナーに対して、この効果をインフォームド・コンセントでアピールしても良いかも知れない。

サロラネル以外の有効成分を含むノミ・マダニ予防薬でも同様の研究が行われることを期待します。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36894954/


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