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診察に関連した猫のストレスを軽減する遠隔医療

投稿者:武井 昭紘

愛猫を動物病院へ連れて来ることに難色を示すオーナーたちの反応を観察していると、彼らにとってペットと一緒に来院すること自体がストレスになっているように思える。そして、そのストレスは、犬を飼育する世帯のそれよりも大きいように感じるのだ。では、如何にして、猫とオーナーのストレスを軽減しつつ診療を進めるか。新型コロナウイルスのパンデミックで注目されたテレワークや遠隔医療の考え方を含めて検討が必要だと考えられる。

冒頭のような背景の中、カリフォルニア大学は、一般家庭で飼育されている猫30匹を対象にして、①対面式の診察と②ウェブカメラ越しの遠隔医療が彼らに及ぼす影響を調べる研究を行った。なお、同研究では、診察中の猫の瞳孔、呼吸数、唇を舐める行動、耳の動きが観察されている。すると、②に比較して①を経験した猫の瞳孔は散大し、呼吸数は増え、ストレスを受けている時の耳の動きを示すことが明らかになったという。

上記のことから、①は猫にストレスを与えている可能性があると言える。アメリカで飼われている猫が400万匹を超えると推計されている現代において、これは由々しき事態である。即ち、直接触れられないこと、カメラを通すと動物の体を構成する組織の色調が変化してしまうこと、緊急を要する処置が直ちに行えないことなど、②には多くのデメリットはあるが、キャットフレンドリーの観点から②を推進する方法を議論することは大切だと思われる。よって、今後、色調が変わらないカメラや組織の微細構造を的確に捉える高解像度のカメラの開発が進むとともに、②で対応できる疾患をリストアップする動物医療業界の動きがみられることに期待している。

大学らは、アメリカ人1300名の「遠隔医療に対する考え」を聴き取る予定だとのことです。

 

参考ページ:

https://www.ucdavis.edu/health/news/uc-davis-researchers-study-telemedicine-cats


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