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犬の糖尿病に併発する膵炎を遺伝子学的に解析する獣医師の募集

投稿者:武井 昭紘

イギリスで飼育されている犬の300匹に1匹が発症するとされている糖尿病は、一次診療施設でも良く見られる内分泌疾患であり、罹患犬の最大30%が膵炎(急性または慢性)を併発すると言われている。そして、これを裏付けるように、糖尿病のリスクを上げる遺伝子変異の一部は膵臓の外分泌機能に関与するといった研究が報告されているのである。つまり、犬の糖尿病と膵炎は遺伝子学的に何らかの繋がりを持っていると仮定できるのだ。

そこで、王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)は、「その繋がり」を明らかにして、糖尿病に併発する膵炎の予測、診断、治療に活用できるバイオマーカーの開発するべく獣医師を募集している。なお、期間は3年~3年6ヶ月。獣医師の資格を有し、小動物臨床および遺伝子学に強い関心を持つ人物が対象だという。また、膵炎が併発していない糖尿病症例と併発している症例から検出された20~50種類のバリアントを解析し、それらの機能をin vitroで調べる予定だとのことだ。

膵炎は生存率を低下させる恐ろしい病気だ。それが糖尿病に併発するとなれば、罹患犬の寿命が短くなる原因にもなるだろう。今回紹介して研究は、彼らの寿命の短縮を防ぐためのファーストステップとも言えるかも知れない。果たして、有用なバイオマーカーは開発されるのか。そして、犬の糖尿病管理は進化を遂げるか。今後の動向に注視したい。

研究に参加する獣医師には奨学金が授与されるとのことです。

 

参考ページ:

https://www.rvc.ac.uk/study/postgraduate/phd/studentships/investigation-of-genes-and-mechanisms-in-canine-diabetes-associated-pancreatitis


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