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インドネシアのある島で調べられた狂犬病ワクチンの効果と犬の体型との関連性

投稿者:武井 昭紘

2019年末から未だにパンデミックが続いている新型コロナウイルスの脅威と、ワクチンの接種回数および効果を議論する世界中の人々、そして、ワクチンを接種したにも関わらず感染してしまうヒトを見ていて、筆者は想うことがある。結局のところ、ワクチンの効果を左右するファクターとは一体何であろうか。ワクチン接種を受けたヒトや動物側にファクターはあるのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、スイスの大学およびインドネシアの自治体らの研究を見付けた。それによると、インドネシアはフローレス島で暮らす健康な犬130匹を対象にして、狂犬病ウイルスに対する抗体価を調べたという。なお、抗体価の測定には、①狂犬病ワクチンを接種する直前と②接種から30日後に採取された血液サンプルが用いられている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆狂犬病ワクチンの効果を左右するファクター◆
・母集団の30%が①の時点で抗体価0.5 EU/mL以上であった
・この抗体価を維持するファクターは「1年以内のワクチン接種歴」であった
・また「高齢であること」と「良好なBCS」もその傾向があった
・①の時点で抗体価が0.5 EU/mL未満であった犬の約86%は②の時点で充分な免疫力を得ていた
・BCSが標準的ではない犬(③)と比べて標準的な犬(④)で充分な免疫を獲得する可能性が有意に高かった
・残りの約14%の②の時点における抗体価は不十分であった
・この約14%のうち大部分(約83%)が③であった

 

上記のことから、狂犬病ワクチンの接種を受ける犬の体型がワクチンの効果を左右していることが窺える。よって、今後、BCSの変動が抗体価に影響を及ぼすメカニズムが解明され、狂犬病ワクチン、引いては、新型コロナウイルスワクチンおよび天然痘ワクチンの効果を高める体重・体型管理法が確立されることに期待している。

④は③の4.7倍、狂犬病ワクチン接種に対する免疫応答が起こりやすいとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.868380/full


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