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フィーディングチューブを適応した猫の転帰を調べて研究

投稿者:武井 昭紘

フィーディングチューブは、何らかの病気やケガによって自力で必要なカロリーを摂取できない症例に適応される。つまり、この処置の対象となった症例は原則、状態がすこぶる悪いのである。では、そのような彼らの転帰とは一体どうなっているのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、フランスの大学らは、①経鼻または②経食道チューブを適応された猫110匹以上を対象にして、彼らの診療記録を解析する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆フィーディングチューブを適応した猫の転帰◆
・症例の83%が①、17%が②を適応されていた
・最も一般的な基礎疾患は消化器系のトラブルであった(約14%)
・次いで肝胆道系(11%)、尿管および腎臓(11%)が続いた
・①を適応されたグループでは消化器系と尿管・腎臓のトラブルが一般的であった
・②を適応されたグループでは肝胆道系と上部気道系のトラブルが一般的であった
・合併症は約19%の症例に認められた
・生存率は73%であった(①に限ると約71%、②に限ると80%)
・「自発的に摂食行動すること」は生存率と正の相関を示した
・約半数の症例が中央値3日で食欲を回復した(最短1日、最長30日、ミルタザピンの投与とは無関係)
・②よりも①の方が食欲回復までの期間が有意に短かった
・チューブを外した退院後の経過では症例の67%が食欲を戻した

 

上記のことから、フィーディングチューブの設置によって、症例の経過は良好になることが窺える。一方、自発的に摂食行動をとらなければ、生き残ることが難しくなることも分かる。よって、今後、フィーディングチューブでは食欲が回復しない症例(即ち死に直面している症例)に焦点を当て、その彼らが食欲を取り戻す方法について研究され、病気やケガを抱えた猫全体の生存率が改善されていくことに期待している。

各疾患ごとの生存率に有意差はなかったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35833503/


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