ニュース

オーナーが経験する自宅における猫への投薬に関するオンラインアンケート

投稿者:武井 昭紘

猫に投薬をする行為は簡単ではない。オーナーらの反応や疲労度を見て、そう思うことがある。では実際のところ、その「投薬状況」とは一体どうなっているのだろうか。オーナーたちは何処から情報を得て、何に苦労しており、何が上手くいっているのか。それらを具に解析することは、猫にとってもオーナーにとってもストレスの少ないキャットフレンドリーな投薬方法を編み出すキッカケになるかも知れない。

 

冒頭のような背景の中、エディンバラ大学らは、世界57ヶ国で生活する①猫のオーナーおよび②プロフェッショナル(動物医療関係者や猫と接する機会が多い人物)2500名以上を対象にして、投薬経験について訊ねる35の質問をするオンライン調査を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆猫の投薬に関する調査の結果◆
・約半数の①に充分な投薬に関する情報は提供されていなかった
・ただし、その少ない情報の約92%は有益で投薬に役立つものであった
・約半数の①はインターネットを介して情報を集めようとしていた
・調査に回答した①と②の約61%が液剤を投与していた
・次いで約45%が薬剤を含むペースト、約40%が錠剤を投与していた
・フードに薬剤を隠したヒトは20%強のみであった
・①にとって錠剤は液剤より投与が難しいものであった(約半数の①が液剤を選択するも、錠剤を選択するヒトは30%に満たない)
・経口投与よりも皮下注射(インスリン)やスポット剤の方が簡単だと回答するヒトが多かった。
・約半数の①が猫との関係性が変わったと回答した(③)
・③の70%以上が猫の抵抗(咬む、引っ掻く)、薬剤を吐き出されること、フードの拒否を経験している
・約35%の①が投薬を上手くできなかった(④)
・④の約28%が投薬期間終了の間近で中断し、約19%が数回の投薬で断念した

 

上記のことから、第一に「投薬方法に関する情報を提供すること」が重要だと考えられる。そして、「より簡単な」投薬方法を獣医師とオーナーが相談することも大切だと言える。よって、今後、①の半数がインターネットを介して情報を集めることも考慮して、オンラインで獣医師に相談できるシステムの構築と投薬に関する有益な情報を纏めたサイトの公開が進むことに期待している。加えて、臨床現場の獣医師は、猫に投薬する方法をオーナーに丁寧に説明した上で、彼らの治療を開始することが望ましいと思われる。

2500名のうち、1700名強が①、800名弱が②であったとのことです。

 

参考ページ:

https://journals.sagepub.com/doi/pdf/10.1177/1098612X221083752


コメントする