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イギリスにおいてデザイナードッグの人気が高まる理由を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

デザイナードッグ。

まだ一般的に普及していると言い難いこの言葉は、交雑種とすれば伝わるだろうか。近年、その多様性は目を見張るものがある。そして、人気も高いようで、動物病院を訪れる犬の中にも良く見かけるようになった。実際、イギリスでは、2019年の時点で子犬全体の5匹に1匹未満がデザイナードッグであったが、2020年には割合が増加し、4匹に1匹はデザイナードッグになったとされている。では、何故、ここまで彼らは人気なのか。ビジネスが絡んだ闇が潜んでいるのか、あるいは、純血種と比べて飼育しやすのか。その理由を探ることは、動物福祉の向上と動物医療の発展の観点から重要である。

 

冒頭のような背景の中、王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)らは、2019~2020年の間に子犬を買い求めたオーナー約6300名を対象にして、オンラインアンケートを実施する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆イギリスにおいてデザイナードッグの人気が高まる理由◆
・対象者のうち1500名余りがデザイナードッグを所有していた
・一般的なデザイナードッグは5つであった(コッカプー、ラブラドゥードル、キャバプー、スプロッカー、ゴールデンドゥードル)
・約75%のオーナーはデザイナードッグが飼育に適したサイズだと認識していた(純血種では約60%のオーナー)
・①純血種より②デザイナードッグは健康的であった(①の約42%に対し②の約62%は健康的)
・①よりも②の方が子供に友好的に接した(①の約43%、②の56%)
・①よりも②の方が躾が簡単であった(①の約36%、②の約54%)
・①よりも②の方がアレルギーを起こしにくい体質であった(①の約8%、②の約47%)

 

上記のことから、デザイナードッグは非常に飼いやすいタイプだという印象を受ける。
健康的で、問題行動も少ない。それは、動物福祉・動物医療の観点から、とても良いことだと思う。ともすれば今後も、彼らは増加の一途を辿るのだろうか。今後の動向に注視したい。そして、人気が爆発的となり、動物福祉を置き去りにしたビジネス一辺倒にならないことを願っている。

同大学らは、ラブラドゥードルの人気が高まって乱繁殖が行われると、股関節形成不全の症例が増加するのではと懸念しております。

 

参考ページ:

https://www.rvc.ac.uk/vetcompass/news/peke-a-poo-boom-in-designer-dogs-creates-the-perfect-storm-for-animal-welfare-issues


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