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新型コロナウイルスに対するワクチンが抱える問題点がペットの予防医療に及ぼす影響

投稿者:武井 昭紘

パンデミックを起こしている新型コロナウイルスに対するワクチンが開発されてから久しく、それ以来、ワクチンの副作用と変異株に対するワクチンの効果について世界中で議論されいる。特に、ワクチンを接種した後に副反応に苦しむヒト、接種後に「因果関係不明」で亡くなるヒト、接種をしたにも関わらずCOVID-19を発症するヒトの存在は、ワクチンにネガティブな印象を与え、その効果に疑念を抱くキッカケになってしまっているだろう。これは、動物医療業界にとっても由々しき事態である。つまり、ワクチンに悪いイメージを持っているオーナーは、ペットの予防医療にも懐疑的になる可能性があるのだ。即ち、愛犬・愛猫にワクチンを打ちたくないと考えるヒトが増える懸念が生じると言えるのである。

 

冒頭のような背景の中、コロラド州立大学は、アメリカで働く獣医師1300名以上を対象にして、犬猫のワクチン接種の現状を聴き取る調査を行った。すると、調査対象になった獣医師は、新型コロナウイルスに対するワクチンが広く普及して以来、ペットが屋外に出ないこと、ワクチン接種は不必要であること、接種自体が病気を招くこと、費用が掛かることなどを理由にして、犬猫のワクチン接種に消極的になり、あるいは、反発するオーナーが増えているという印象を持っていることが判明したという。また、そのオーナーの数の増加は、獣医師が所属する各地域の反ワクチン感情の強さと関連していることが確認できたとのことである。

上記のことから、反ワクチン感情が強い地域は、ペットの予防医療が崩壊するリスクを抱えていることが窺える。よって、今後、リスクが高い地域において「崩壊を喰い止めるために必要な」啓蒙活動とは何かを突き詰める研究が進み、感染症で亡くなる犬猫の増加を防ぐ対策が講じられることを願っている。

日本でも同様の調査が行われことに期待します。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35905158/


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