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低コストで作製された犬のマネキンを用いた頚静脈採血の練習とその効果

投稿者:武井 昭紘

採血、留置、麻酔、手術etc。

獣医師が行う手技や処置全般には、経験を要するものが多い。そのため、獣医学部生および新人の獣医師には経験を積むことが求められるのである。しかし、その経験は時に、実際の臨床現場のみで積んでいくことが難しい、あるいは、膨大な時間を必要とする場合があるのだ。そこで、マネキンの登場となる。生きた動物や彼らの体の一部を模したマネキンが格好の練習台になるのである。だが、流通するマネキンは正直、高価だ。どうしたものだろうか—–。

 

冒頭のような背景の中、スペインおよびクロアチアの大学らは、頚静脈からの採血を練習するための、且つ、自作が出来るマネキン(Do-It-Yourselfマネキン)を開発し、その有用性を検証する研究を行った。なお、このマネキンは、コストが60ユーロ(約8500円)未満で、1時間以内に組み立てられる設計となっている。すると、マネキンは学生にとって受け入れやすく、また、これを相手に練習した場合において自信が付きやすく、ストレスも軽減されることが判明したという。

 

上記のことを利点としつつ、大学らは、Do-It-Yourselfマネキンによって、費用対効果の高い練習台が作製できるばかりか、3Rの原則も守られると述べる。つまり、頚静脈採血の練習に付き合う可能性のあった動物の苦痛減らし (Refinement)、彼らの使用頻度も抑え (Reduction)、 動物の代わりになる代替品も用意できる (Replacement)ということだ。よって、もしも頚静脈採血に自信が無く、生きた動物を前に過度の緊張をする学生・新人獣医師がおられるならば、今回紹介したマネキンを作製してみることをお薦めする。

必要な材料とマネキンの完成イメージは、リンク先の文献をご参照下さい。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35525053/


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