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特発性てんかんの猫に起きたフェノバルビタールによる過敏症症候群

投稿者:武井 昭紘

1歳5ヶ月の猫(避妊メス)がイギリスの動物病院を訪れた。主訴は、リンパ節が腫れていること。身体検査では粘膜の色が淡く、リンパ節の腫大も確認された。また、血液検査にて、再生性貧血を呈していることが判明。感染症のスクリーニング検査は陰性であるものの、凝集反応は陽性だった。加えて、リンパ節の細胞診では、反応性のリンパ過形成が観察された。一体、この若い猫に何が起こっているのだろうか。リンパ腫なのだろうか。それとも—–。

 

本症例の特筆すべきことは、特発性てんかんを抱えていることだ。フェノバルビタールによる治療を受けていたのである。同院は、フェノバルビタール誘発性の①リンパ過形成および②免疫介在性貧血を疑った。そこで、この薬剤の投与を中止した。すると、4週間後、①も②も完全に解消されたという。

 

過去の報告によれば、フェノバルビタールを服用した犬が偽リンパ腫猫が汎血球減少症を発症した例がある。そして、いずれも薬剤の変更で症状は解消されている。つまり、本症例を襲った①②も「フェノバルビタール誘発性」と考えるのが妥当であろう。果たして、同様の症状を認める、特発性てんかんの猫は他にも存在しているのか。今後、有病率を算出する研究が進むことに期待している。

今回の報告をした動物病院らは、本症例の病態がヒトの「薬剤性過敏症症候群」に似ていると述べています。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35281675/


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