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サル痘ウイルスに感染していたヒトが飼う犬が発症したサル痘

投稿者:武井 昭紘

今年の6月、アメリカのCDCがある注意喚起を行った。それによると、世界各地で感染が報告されているサル痘ウイルスに対する対策を講じるにあたって、同ウイルスに感染したヒトはペットに触らないこと、そしてペットとは食器を共有しないことが重要だというのだ。では実際のところ、ヒトからペットへサル痘ウイルスは伝播するのか。現実に発生した事例を基に、その真偽を検証する必要があるものと思われる。

冒頭のような背景の中、フランスはパリより、4歳齢のイタリアン・グレーハウンドとそのオーナーの身に起きた事例が報告された。具体的には、オーナーがサル痘に感染していることが判明した12日後、イタリアン・グレーハウンドは皮膚病(膿疱、潰瘍)を発症したという。また、口腔内および肛門からサンプルを採取したスワブのPCR検査が陽性であったとのことである。

彼らは、寝る場所を共有していた。無論、このことが原因だとも、ヒトから犬にサル痘ウイルスが伝播したのだとも断定はできないが、一緒に生活をしていたヒトと犬が時を同じくしてサル痘ウイルスに感染した。症例報告を行ったパリの大学らは、更なる調査が必要だと訴える。果たして、同ウイルスはヒトとペットの間で伝播するのか。するのであれば、どのような環境下で伝播するのか。そして、その環境(条件)を避ければ、感染は防げるのか。今後、調査・研究が進み、謎に満ち、ベールに包まれた防疫対策が一つひとつ明らかになることを願っている。

WHOは、今回紹介した事例を公衆衛生上の緊急事態として重く見ているようです。

 

参考ページ:

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(22)01487-8/fulltext


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