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バーベキューの後に体調不良になった犬の1例

投稿者:武井 昭紘

ニューヨークおよびカナダの国境に程近いニューハンプシャー州に暮らす家族がバーベキュー(BBQ)をした。厳しい猛暑は困るが、暖かく(熱いと言うべきか)陽気な気候が続く夏は、BBQに打って付けの季節だ。そして、実に羨ましいことに、家族はBBQを楽しんだようである。2匹の大型犬とともに。しかし、数日後、そのうちの1匹が体調を崩す。元気も食欲も無い。おまけに異常に水を飲む。それでも尿は濃いように思えた。しばらくして、嘔吐が始まる。オーナーに不安が過った。

Pet Poison Helpline(北米にてペットの中毒症状に関する有料相談を24時間対応で受け付ける組織)に相談して貰ったアドバイスの通り、彼女は愛犬を動物病院へ連れて行く。赤血球の破壊を伴う貧血に消化器症状。BBQの時にコストコで買った大型のオニオンパウダーのボトルが散乱していたことを念頭に置くと、タマネギ中毒が疑われた。この中毒は、タマネギへの曝露から3~5日以内に発症する。経過を考慮しても、「そう」であった。輸血、酸素療法に抗酸化剤。3日間集中的に管理された結果、症例は無事に回復した。数1000ドル。日本円にして30万円前後の医療費が支払われた。

 

タマネギは、犬にとって有害である。時に命を奪う。故に、タマネギ自体は勿論のこと、タマネギを使った製品や料理も要注意だ。愛犬の口や足が届く範囲にタマネギを置かないことをお薦めする。数十万という高額の医療費に落胆しないためにも。そして、愛犬の健康を守るためにも。

この1件の後、オニオンパウダーのボトルを小さいものに変更したそうです。

 

参考ページ:

https://www.dvm360.com/view/onion-powder-poisons-daring-dog


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