療法食を処方する時、獣医師やオーナーは心配、あるいは、悩みを抱えることがある。治療が必要な愛猫が、療法食を食べてくれるだろうか。もし、口に合わなかったら、どう対処するべきか。回復が遅くなっても良しとして、好きな市販食で妥協するか。療法食を食べさせるべく、試行錯誤を繰り返すか。それとも・・・。
冒頭のような背景の中、マレーシアプトラ大学は、臨床上健康な猫を対象にして、4つの疾患の治療のために開発された療法食に対する嗜好性を比較する研究を行った。なお、同研究では、①「ストルバイト尿石症用」、②「腎臓病用」、③「皮膚病用」、④「腸疾患用」の療法食(メーカーは非公開である)を、それぞれの猫に同時に2種類提供する形式が採用されている。すると、摂取した総量、および、提供された2種類の食べた量の比率において、①②④よりも③が少ない・小さいことが判明したという。
上記のことから、③は猫の口に最も合わないことが窺える。よって、今後、①②④と③の成分を比較する研究が進み、香り、風味、食感、フードの形状など、③が猫の口に合わない理由が特定されることに期待している。そして、全ての療法食の嗜好性が高められ、冒頭の心配・悩みと、療法食を食べなければならない猫のストレスが解消されることを願っている。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35497963/