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原因不明の跛行を呈した4匹の犬と1匹の猫を襲った関節炎の真相

投稿者:武井 昭紘

原因不明の跛行を呈する犬猫が、韓国はソウルにある建国大学校の付属動物病院を訪れた。その数、5例。4例の犬では多発性関節炎、1例の猫では右膝関節の腫瘤が跛行に繋がっていることは判明したが、根本的な原因を特定するには至らなかった。一般的に行われているX線検査、整形学的および神経学的検査では何も掴めなかったのである。犬の症例に関しては、抗核抗体、リウマチ因子も陰性。微生物の培養試験でも手掛かりは得られなかった。

ただし、気になる共通点があった。5例から採取した関節液は黄色味を帯びていて、顕微鏡で観察すると、針状で茶色の結晶成分が存在していたのだ。その結晶とは、尿酸ナトリウムであった。犬4例はNSAID、ステロイド、免疫抑制剤、キサンチンオキシダーゼ阻害剤などを組み合わせて、猫1例は敗血症性関節炎を疑われたようで抗生剤、デキサメタゾン(関節内注射)、ドレナージにて治療された。

免疫抑制剤が使われた犬2例、猫1例は、症状が軽快する時期はあるものの再発した。キサンチンオキシダーゼ阻害剤を投与された犬2例のうち、1例は治療途中で斃死した。残りの1例は、治療開始から3ヶ月後に症状が完全に消失した。それ以降の3年間、再び動物病院を訪れることはなかった。

症例報告を行った同大学は、犬猫で初めて「痛風」が確認されたと述べている。跛行・関節炎の鑑別診断に、当該疾患を追加するべきだと訴えているのだ。果たして、犬猫の関節に起きる痛風は稀な現象なのだろうか。あるいは、痛風の存在が知られておらず、見逃されているのだろうか。今後、有病率を算出する研究が進み、ペットの関節炎に対する診療レベルが向上することを期待している。

この症例報告に登場する猫の腫瘤は外科的に切除されています。それでもなお、再発していることから、建国大学校は、症例に跛行の原因は痛風にあるとしています。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.752774/full


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