ニュース

腹部CT検査を用いて健康な犬の副腎の容積を計測した研究

投稿者:武井 昭紘

犬は、副腎の機能が異常となる、いわゆる副腎機能亢進症や副腎機能低下症を患うことがある。故に、これらの病気を診断することが重要とされ、一つの指標として、超音波検査などで「副腎のサイズを観察すること」が広く用いられているのだ。つまり、この観察を客観的にするべく、臨床上健康な犬と罹患犬の副腎のサイズを数値化することが大切だと言えるのである。

そこで、オーストラリアのマードック大学は、副腎に疾患を抱えていない犬150匹を対象して、彼らの副腎の容積をCT検査で測定するとともに、同臓器の容積を推定する数式を作成する研究を行った。すると、3.1~67.5kgの体重の犬では、①左の副腎の容積が0.23〜2.84 cm3(平均1.22 cm3)、②右が0.14〜2.97 cm3(平均1.11 cm3)であることが判明し、①は0.154 +(0.02×体重)+(0.07×副腎の幅)、②は-0.116 +(0.02×体重)+(0.06×副腎の幅)で表されることが分かったという。

上記のことから、同研究の測定結果および数式を用いて、何らかの理由で腹部CT検査を実施した犬の副腎のサイズを評価することができると考えられる。よって、今後、超音波検査で副腎を観察した際の測定値との関連性を調べる研究が進み、この数式の精度が評価され、小動物臨床に応用されていくことに期待している。

今後、3kg未満の超小型犬の副腎容積を算出できるように数式が改定されると、利便性が向上すると思います。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34997659/


コメントする