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「てんかん」の猫の脳をMRI検査で観察したドイツの研究

投稿者:武井 昭紘

神経系疾患の代表格である「てんかん」を診断する手法として、MRI検査は重要な位置を占めている。一方で、同検査で確認される海馬の変化は、猫で良く見られる所見だとされている。しかし、「てんかん」を抱える猫と海馬の画像所見との関連性は不明のままである。

そこで、ドイツのウィーン大学らは、1歳未満から6歳を超える個体まで様々な年齢層の、「てんかん」の猫140匹以上を対象にして、彼らの脳のMRI検査および病理組織検査の所見を分析する研究を行った。なお、同研究では、①MRI画像が正常、②海馬の外に病変を認める、③④コントラストの強調を伴わない、あるいは、伴う海馬の変化を認めるといった4つのグループに症例を分けている。すると、症例の49%は①、18%は②、33%は③④に分類されることが判明したという。また、海馬の萎縮を示す「海馬硬化」という病理検査での所見が①~④の全グループで確認されることも分かった。

上記のことから、猫の「てんかん」と海馬の変化との関連性は否定も肯定もできない状況だと考えられる。果たして、MRI検査で認められる海馬の変化、または、病理検査で認められる海馬硬化は、猫の「てんかん」の病態に関与しているのか。今後、更なる研究が進められることに期待している。

②は6歳を超える個体に多いとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35235959/


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