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人工知能が算出する犬猫の心臓の大きさを評価するVHS法の精度を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

心臓病は、犬猫の主な死因の一つである。そのため、小動物臨床では心臓の状態を評価する検査は重要だとされ、X線検査を用いた椎骨心臓総計法(vertebral heart scale、VHS法)は、心肥大の定量化およびうっ血性心不全の発生予測のために広く利用されている。しかし、このVHS法には欠点があり、測定する者によって数値にバラつきが生じると言われている。つまり、VHS法における「バラつき」を最小限にすることが課題となっているのだ。

そこで、テネシー大学は、①人工知能(artificial intelligence、AI)が算出するVHS法の値と、②放射線科医と循環器専門医が算出する値を比較する研究を行った。なお、本研究では、犬猫それぞれ30匹のX線画像(胸部ラテラル)が用いられている。すると、犬と猫いずれであっても、①②の値は高い確率で一致することが判明したという。

上記のことから、冒頭に記した「バラつき」は、AIによって解消されることが窺える。よって、今後、一次診療に携わる獣医師が利用できる自動VHS計算機が開発され、各動物病院が所有するデジタルレントゲンを管理するパソコンにインストールできるように製品化されることを期待している。

椎骨左心房総計(vertebral left atrial size、VLAS)も算出できるAIが開発されると、更に利便性が増すものと思われます。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34957280/


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