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副腎皮質機能亢進症を発症しやすい犬種に関する研究

投稿者:武井 昭紘

副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)は、犬に良くみられる一般的な内分泌疾患である一方で、その症状は非特異的なもの(多飲多尿、腹部膨満、筋力の低下、脱毛、肝酵素の上昇など)が多い。そのため、当該疾患を疑い、そして診断するためには、各臨床検査に加えて「最新の疫学」が必要となるのだ。では果たして、クッシング症候群を発症しやすい犬種とは一体何であろうか。それを明らかにすれば、忙しい診療業務の中で「疑う」ことが可能となり、診断までのプロセスが迅速化するものと思われる。

そこで、王立獣医科大学は、大規模臨床データベースVetCompassに登録された犬の診療記録90万件以上(2016年)を対象にして、クッシング症候群と診断された犬のデータを解析する研究を行った。すると、以前に報告された犬種に加えて新しい犬種が高い発症リスクを抱えており、7品種、具体的にはビションフリーゼ、ボーダーテリア、ミニチュアシュナウザー、ラサアプソ、ヨークシャーテリア、スタッフォードシャーブルテリア、ジャックラッセルテリアがそれに該当することが分かったという。また、平均よりも重い体重の個体もクッシング症候群を発症しやすいことが判明した(約1.4倍)。

上記のことから、クッシング症候群の発症リスクが高い犬種が存在していることが窺える。よって、前述した7品種で、冒頭の非特異的症状を呈する犬ではクッシング症候群を疑い、診断するための、あるいは、除外するための検査を検討することが望ましいと考えられる。

有病率は0.17%であったとのことです。

 

参考ページ:

https://mrcvs.co.uk/en/news/21333/Study-identifies-new-breed-associations-for-Cushing’s-syndrome-in-dogs


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